クライミングギアにプーリーを2つ

 

 

直接的に登攀に必要な装備ではないので、一般のクライマーで持っている人は案外少ないものですが、いざトラブルが起きた時にプーリーが無いととても困ります。
宙吊りになった人を引き上げる際にプーリーがないとほんと引き上げが困難だし、困難な壁の登攀の際に荷揚げを行うにも、プーリーがないとほんと重い。渡渉の際のチロリアンブリッジなんかにもあると便利ですね。
プーリーはたくさんあった方が効率的ですが、登攀に直接的に役立つ道具では無いのであまりたくさんは持ちたくないですよね(^_^;)
個人的には2つのプーリーを個人装備として持つのが良いかなと感じています。


ページヘの "いいね!"、記事のシェアも是非お願いします!

登山情報の共有は、安全登山にきっと繋がります。


クライミングギアにプーリーを2つ

 

 

登攀を伴う登山を行う際、クライミングギアにプーリーは含まれていますか?
セルフレスキューをしっかりと訓練されている方でも、プーリーを持っていない方もいらっしゃるのではないかと思います。直接的に登攀に必要となる道具ではないので、どうしても軽量化の対象にされてしまいがちだとは思います。
しかし実際の救助の際には、プーリーの有無でその効率は大きく変わります。

例えばカラビナで直接ロープを180°折り返した場合、プーリー効率は凡そ50%。抵抗が一切ない状態の半分までエネルーギーロスが発生することになり、例えば1/3の引き上げシステムを作っても計算上では175%の出力となります。この状態では70kgの人を引き上げるのに40kgもの力が必要になります。現実的には岩角接触などによりまず引き上げられません。(
1/6システムなどにしてもその抵抗により効率は262.5%。複雑なシステムの割に二倍半程度の力しか出せません。)

 

ではプーリーを使った場合にはどうでしょう?
商品によってプーリー効率は大きく変わりますが、ボールベアリングが搭載されたプーリーであれば凡そ90%程度の効率になります。仮にこのシステムで全ての屈折箇所をプーリーにした場合、1/3システムで271%の出力。1/6システムであれば515%の出力になります。圧倒的なエネルギー効率の差です。

 

 

ではどのくらいの個数を用意すれば良いでしょう?
個人的には、各自が2つのプーリーを持つことが理想だと考えています。例えば2人でコンティニュアスビレイで行動中にパートナーが落ちて負傷したとします。自力で登り返しが行えない場合、レイジングシステム(倍力システム)を組んで引き上げを行う必要があります。
この場合、要救助者まで余ったロープを下ろせるのであれば1/6システム、ロープのあまりがない場合には1/3システムでの引き上げとなります。1/3システムの場合には最低2つ、1/6システムの場合には最低3つのプーリーが必要となります。
救助者、要救助者のそれぞれがプーリーを携行していれば、このどちらのシステムでの対応できます。

 

.

レイジングを組んでホーリングシステム(引き上げシステム)を構築する場合、システムの一部にセルフジャミングシステムが取り入れられる必要があります。
セルフジャミングシステムとは一方向にしかロープが流れないシステムのことを言います。これを組んでおかないと、せっかく引き上げても手を離した瞬間に落ちてしまいます。
セルフジャミングシステムを構築する上で一番手間が少ない方法がセルフジャミングプーリーを取り入れること。各社からアッセンダーを搭載したセルフジャミングプーリーが販売されており、アッセンダーとしても使用することができます。
クライミングを行う際にはアッセンダーも携行すべき装備なので、セルフジャミングプーリーは一石二鳥となる道具と言えるでしょう。2つ持つプーリーの内、ひとつはセルフジャミングプーリーにしておくと良いでしょう。

 


もちろんプーリーとフリクションコードの組み合わせでも問題はありません。セットに時間がかかったり、フリクションコードの抵抗分僅かに引き上げが不利になったり、コードのあまり分の戻りが発生する効率の悪さはありますが、万が一限界まで引ききってからのリリースが必要なミスを犯してしまっても、最悪の場合フリクションコードを切れば解除できます。
またコードの戻り分のリリースが起きるので、本当の意味でパツパツまで張り込んでしまうミスは起こりにくい特徴もあります。(セルフジャミングプーリーの場合、少しロープを引いてアッセンダーからテンションを抜かないとジャミングを解除できない。)
当然セルフジャミングプーリーを用意するよりもコストもかかりません。
プーリーとフリクションコードの組み合わせで持つのも一つの選択肢でしょう。

 

当たり前の話ですが、セルフレスキューは適切な指導を受けた上で充分なトレーニングを積み重ねる必要があります。

クライマーはもちろんロープを使った登山を行う以上必ず宙吊りのリスクが伴います。せっかくロープにより大滑落を防ぐことができても、引き上げることができなければ本当の意味での危機は脱せません。(事故脱出できることがまずは優先されます。)
アルパインクライミングやマルチピッチクライミング、バリエーションルート、雪山登山などを楽しむすべての人が身につけるべき技術です。
山岳会などの組織に属さない方の場合はどうしても身につける機会がなかなか無かったりしますが、しっかりと学習しないと危ない目に遭うかもですよ!

是非学習機会を設け、しっかりと練習を繰り返しておきましょう。
その上で、装備を整えておくこともやっぱり重要です。プーリーを装備に加えていない人はちょっと検討してみましょう。
皆様の安全登山にお役立て頂ければ幸いです♪

おすすめの講習カリキュラム


セルフレスキュー技術講習

 

山岳遭難事故は万が一ではなく、もっとずっと高い確率で発生します。もし仲間が目の前で事故を起こした時、自分たちで助け出さなくてはならない場合もあります。

この講習ではセルフレスキューを行って良いかどうかの判断と、救助方法、実際に救助の流れを行うロールプレイングを通じて活きた技術を習得します。

 

料金:12,000円(税別) 対象:登山初心者~



 Facebookをされている方は、是非下のバナーの"いいね!"ボタンを押してください

登山に役立つブログの更新情報が、タイムライン上に表示されるようになります。
良質な情報発信を心がけますので、是非 "いいね!" して下さい。宜しくお願い致します!!

 

 

良質な登山情報をより多くの方にお伝えすることは、山の安全に繋がると信じています。

記事のシェアは下のボタンよりお願いします♪

ご協力、お願い致します!!