日本の山には地下足袋が最強か!?

 

複雑な形をした滑り易い地形を歩く登山では、足で地面を捉える力が求められます。特に急峻な土の斜面、苔が浮いた滑り易い石、濡れた岩壁などで硬い靴だと、スリップするかしないかの情報を足で感知しにくくなります。この為、日本の夏山では柔らかく足裏の薄い履物が合います。

足の指で地面を握り、足の骨ひとつひとつを可動させて地面の形状を捉える。 本当の意味でのフラットフィッティングは、地面の形に合わせて自在に変形するくらい薄いソールでなければ為し得ません。

 

しかしその一方で、履物が足を守ってくれなくなります。 硬いソールの靴であれば小さなスタンスに力を入れずに立ち易いが、柔らかいソールの靴では脹脛の筋肉に負荷が大きくなります。 厚いソールの靴であれば地面からの衝撃を吸収できるが、薄いソールでは足底筋をしならせて衝撃を吸収しなくてはなりません。 丈夫な靴であれば石を蹴っても大丈夫ですが、薄い靴では石を蹴らない様に丁寧な歩行が求められます。

柔らかく、薄いソールの靴を履くには、強靭な脚と精度の高い歩行技術が求められます。これは一朝一夕には手に入らない。

強い足を作る為には、徐々に柔らかい靴に変えて行く必要があります。 はじめに丈夫なトレッキングブーツを使いますが、柔らかいハイキングシューズ、クッション性の高いトレイルランニングシューズ、丈夫だがソールの薄くなるレザーのアプローチシューズ、柔らかくて足裏感覚の高いメッシュのアプローチシューズ、そして地下足袋と、何年も時間をかけ、徐々に履物を薄くして行きます。

 

脚の故障を防ぐ為にも、無理は禁物。

ちょっとずつ、ちょっとずつステップアップして行きます。

こうしている間に、意識して歩く事になるので歩行技術も向上します。

大丈夫、山と足が歩き方を教えてくれます。(ややスパルタ気味な教えですがf^_^;)

 

.

靴なんて人間の軟弱な脚をサポートする為の道具であり、究極を言えば裸足なんだろうけど、それには10年とか20年とか、ほんと長い年月かけて目指さないと出来ないし、リスクも跳ね上がる。 現実的には地下足袋とか、ワラーチとか、ベアフットシューズあたりが限界かなとも思う。 

この手の薄い履物の中ではモンベルのサワタビが良いのではないかと感じます。

 

ネオプレーンの足首まで覆われた靴で、足首を超えなければ水はほぼ浸水しません。水の中はもちろん残雪でも足は冷えにくいし、岩での圧倒的なフリクションはもちろん、濡れて滑り易い岩でもしっかりとグリップしてくれるアクアグリッパーと言う沢登り用の特殊なハイフリクションソールを搭載。

現代的なテクノロジーを使いつつも、地下足袋としてかなり柔らかい部類に入る一足です

 


現在、短めの日帰り山行で修行を重ね、近い将来にはこれで長期縦走もこなせる脚に仕上げたい。 

地下足袋登山をする様になってから、山はますます愉しくなりました。 脚の裏で大地を感じ、木の根を握り、岩を握り、足裏全体で滑る地面を捉える。 山で踏む一歩一歩を大切にする様になり、より山を感じられる様になります。

よく捻挫のリスクについても問われますが、それは普通の靴より心配は少ないと感じます。 そもそも捻挫はハイカットの靴だから防げるものではないとされてます。(物理的に足首を固定してしまうダブルブーツなどは除く) 

多くは浮石などを踏んだときに起こるのですが、硬いソールでは板の下に石がある様なもので、センターからずれりゃ、そりゃ傾きます。 柔らかいソールであれば石はソールにめり込むので、傾きは起きにくくなります。 また重心が低くなる事でそもそも捻挫リスクは小さくなります。

僕はその昔オートバイのレースで両足とも怪我をしており、足首がグラついて捻挫し易い足だったりします。 実際に山でも捻挫し易い弱点を持っており、20代前半からの15年ほどで何度大きな捻挫をやらかしたか分かりません。 いや、ほとんど毎回、一回か二回くらいは足をグリっと、危うく捻挫しかけてたりしました。 

しかしそれも地下足袋ではただの一度も起きていません。これは大きな利点です。

 

林業者や猟師はほぼ全ての人が地下足袋です。日本の山のプロフェッショナルの多くは、地下足袋を履いてるんです。 地下足袋で自由に山を歩ける様になって、ようやく一丁前に山男になれる気がします。 

決して簡単な道程ではありませんが、地下足袋で山との関わり方が必ず変わります。日帰りのちょっとしたハイキングやテント場で過ごす時間とかだけでも、ちょっと始めてみませんか? 

もっと山は近くなり、登山者としての人生がより深まると思いますよ^ ^

 

 


はじめての沢登り技術講習

 

沢登りに必要な基礎知識に加え、ハーケンの打ち方、確保技術の選択、滝の登攀体験、滝の高巻き経験、渡渉技術など、沢登りにフォーカスした知識と技術を身につけて頂きます。

これから沢登りデビューをしていきたい方はもちろん、今後リーダーとして沢を歩く方にもオススメのカリキュラムです。

 

対象:どなたでもご参加頂けます。