クライミングは、スポーツクライミングを楽しむためだけに必要なわけではありません。クライミング技術を向上させるほどに、登山のどんなジャンルをやるにせよ、あなたの可能性は広がっていくものです。
クライミングをすると、登山道の歩きですら下りが不得意などのよくある不安は無くなります。それは強い傾斜に慣れ、バランスの取り方のコツがわかるためです。もちろん、沢登り、藪山、岩稜、雪山、アイスクライミングなどのアルパイン系の登山を目指すなら、クライミングは必須技術です。そうしたアルパイン系の登山に挑戦したくて、あなたもクライミング技術を学んできたと思います。そして「これができればアルパインを楽しめる」という技術がマルチピッチクライミングなのです。
ただ、取り付きから安全圏に抜けるまで、ルートを一本登るとなると総合的なスキルが必要です。プロテクション設置や支点構築など各技術は難しくはないにしても、ルートどりはどうすれば良いか、ピッチはどこで切れば良いかなど、たくさんの状況判断が求められます。それに不安を感じるうちは実践運用にはなかなか自信が持てないのではないでしょうか。また、どんなにしっかり学んだと思っても、実践経験が乏しく、技術の定着していない時期は、どうしてもミスを犯してしまう可能性が高い。
マルチピッチクライミングの実践講習は、そうした未定着期のリスクをカバーしながらも、取り付きから安全圏までの一本のルート全体における確保技術を実践的に使えるようになることを目的としています。困難なルートへ挑戦する前に、まずは学んだクライミング技術の実践、改善を繰り返して、確実なスキルの習得を目指します。
この講習では、山深くアルパイン的リスクの高いルートは避け、アプローチの容易なフリークライミングの岩場のルートを登ります。中にはクライミングそのものが難しいピッチも含まれるルートもあります。ですがフォールがハイリスクとなるアルパインルートと違い、フリークライミングのルートはアンカーが強固で、フォールを前提として整備されているため、インストラクターの安全管理のもと、思い切ってチャレンジしてみることも可能です。
マルチピッチクライミングさえできれば、大きなリスクを負うことなくアルパイン系の登山を実践できるようになり、登山から得られる喜びは格段に大きくなります。そして技術が使えるスキルとして定着すれば、クライミングの力量を上げることで、困難を追求するような厳しいアルパインクライミングの世界への挑戦権も得られるでしょう。
マルチピッチクライミング実践講習で経験を積めば、あなたの目指す登山の実現は、グッと近づくはずです!
林立する大小の岩峰をつないで登るルートです。アルパイン・ルートを登っているような楽しさも味わえます。グレードは5.4から5.8。しかし、残置支点はほとんどなく、プロテクションはカムや立木でとったり、アンカーの場所も灌木を利用したりするなど自分で見つける必要があり、ナチュプロの習熟に最適なルートです!
対象:オンサイトグレード5.9以上、バックアップを設けた懸垂下降技術を習得していること、マルチピッチクライミングのシステムを理解していること
小川山マルチピッチの入門であるガマルートにて実践を行います。登攀グレード5.9,、8ピッチのルートです。スラブ場の岩壁であり、一見登りやすそうにも見えますが高度感とボルト感覚の遠さから緊張はなかなか途切れません!登攀、確保、支点構築、懸垂下降など一連の流れをインストラクターの指導のもと、実践経験を積みましょう!
対象:オンサイトグレード5.9以上、バックアップを設けた懸垂下降技術を習得していること
城山の中では最も易しいであろう、南西カンテにて実践山行を行います。フェースやスラブのルートに加え、小ハングやトラバースなど所どころ核心が垣間見えます。城山は日当たりも良く、登攀中は伊豆市の景色を眼下に気持ちの良いクライミングを行うことができます!
対象:リードクライミンングが問題なく行えること、バックアップシステムを設けた懸垂下降が行えること、マルチピッチクライミングのシステムを理解していること
小川山の屋根岩3峰にあるRCC神奈川ルートは5ピッチ、グレード5.9のクラシックなルートです。岩稜の裏側にある急峻なクラックとチムニーを登攀したり、フレーク、フェース、ルンゼやスラブなど様々な岩壁を楽しむことができます。高度感ある爽快なクライミングにてマルチピッチクライミングの実践経験を積みましょう!
対象:リードクライミンングが問題なく行えること、バックアップシステムを設けた懸垂下降が行えること、マルチピッチクライミングのシステムを理解していること
小川山マルチピッチの一番人気であり代表的ルートであるセレクションを登攀します。7ピッチ、グレード5.9であり難易度は高くはないですが、スラブ・クラックという小川山ならではの内容です。さらにナチュラルプロテクション設置というクライミングの全てが詰まったルートです!
対象:リードクライミンングが問題なく行えること、バックアップシステムを設けた懸垂下降が行えること、マルチピッチクライミングのシステムを理解していること
天狗山の山頂直下の岩稜・岩壁を繋いで登る、その名も”天狗山ダイレクト”
ナチュラルプロテクションや登攀力などクライミング技術に加え、ルートファインディングや読図など、登山の総合的な力も求められる好ルートです!自身のスキルアップを目指しましょう!
対象:リードクライミングが問題なく行えること、バックアップを設けた懸垂下降が行えること、マルチピッチクライミングのシステムを理解していること
クライミングの聖地である石灰岩の二子山。中央稜は大変人気のある入門向けルートです。多くのクライマーがこのルートにてマルチピッチクライミングを学んだのではないでしょうか。西岳にトップアウトできるので、山頂からの景色も楽しみの一つとなっています。
対象:リードクライミングが問題なく行えること 、 バックアップシステムを設けた懸垂下降が行えること 、マルチピッチクライミングのシステムを理解していること
稲子岳は八ヶ岳山域、天狗岳の隣にあるテーブルマウンテンのような山。山頂に行く登山道はありません。南壁は特に高低差がありますが、岩壁の西側が弱点。「左カンテ」はその弱点に引かれたカンテ・ラインを登る5~6ピッチのルートで、難易度も上限Ⅳ級と易しめ。アルパイン・マルチの実践経験を積むために最適なルートです!
対象:リードクライミングが問題なく行えること 、 バックアップシステムを設けた懸垂下降が行えること 、マルチピッチクライミングのシステムを理解していること