ランヤードと言う道具を、セルフビレイの為に用意する必要があります。
危険箇所に立って作業する時、自分自身と壁を繋いでおかないと、些細なミスで転落する恐れがあります。実際、多くのクライマーのハーネスにはランヤードが取り付けられていますし、鎖場の連続する登山道であれば鎖にセルフビレイを行いながら転滑落防止を行っている登山者も多いと思います。
しかし、中には伸びないスリングなどでセルフビレイを行っている人もいると思います。
実はこれ、超危険!!
仮に120cmのダイニーマスリングで、体重80kgの人が160cm墜落したとします。
この場合、即死に至るダメージを負う可能性が高いです。
例えば、足元が切れ落ちた道で腰よりやや低い位置に垂れ下がったワイヤーがあるとします。これに伸びないダイニーマスリングなどを使ってセルフビレイを行います。地面までの高さは4mだったとしましょう。
セルフビレイを行わずに転落した場合、骨折などの怪我をするかも知れませんが、死亡に至るリスクはそこまで高くはないでしょう。では、ダイニーマスリングでセルフビレイを行っていた場合は?
高確率で即死に至ります。
繋げば安全というものでもないことは十分に理解しておく必要があります。
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では、どの様な道具を選択すべきか?
そのヒントはクライミングにあると思います。
特にスポーツクライミングのシーンでは、それこそ何度も何度もバンバン落ちます。時には、びっくりするくらいの高さを落ちることもあるでしょう。
でも彼らは無傷です。それどころか一切の痛みすら感じていません。
何故か?
それはロープが伸びるからです!
ロープが伸びることで墜落衝撃が時間軸に分散され、瞬間的な最大墜落衝撃は小さくなります。
クライミングロープによる墜落衝撃は、落下係数によって左右されます。落下係数とは出ているロープの長さに対する墜落した距離の比率を言います。
例えば面白い話で、自分が橋の上に立ち、そこにロープを結んだとします。そこから飛び降りれば落下係数は1となります。
では5mのロープを繋いで5m飛び降りた場合と、50mのロープを繋いで50m飛び降りた場合、その人にかかる衝撃はどう変化するでしょうか?
実は、発生する最大墜落衝撃は同じなのです!!
にわかに信じがたい話ではありますが、計算上は確かにそうなります。これはロープの長さが出ている分、より多く衝撃を吸収できるからだそうです。
この特性をランヤードに活かすことで安全が得られます。
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近年、各社からダイナミックロープを使用したランヤードが発売されています。これらを使うことでクライミングに使用するダイナミックロープと同じ効果が得られます。長さが調整できるので利便性も高い商品となっています。
それはそれで便利なのですが、一方で重量が重くなったり、コストが高くなったりしてしまう傾向にあります。
Kuri Adventures では 山岳ロープワーク講習 で " 架替登攀確保技術 " を指導しています。
2本のダイナミックランヤードを使用し、鎖にカラビナをクリップすることで、難易度の高い鎖場で、単独行であっても確実な安全確保ができる手法を学習してもらいます。
この技術を使用するために、2つのダイナミックランヤードを購入するのは高額だし、なによりそれじゃ重いですよね。
そこで考えました!
それが Kuri Adventures オリジナルのランヤードシステム " シンプルツインランヤード " です。
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高性能クライミングクライミングロープを3mに切り分けたものに、開け閉めのしやすいロッキングゲートカラビナを組み合わせたランヤード。(3mに切り分けたロープのみの販売も行っています。)
クライミングロープには " シングルロープ " " ハーフロープ " " ツインロープ " の3種類があり、それぞれ特性が違います。
スポーツクライミングで使用するシングルロープは、地面から近い場所での墜落も想定して作られており、最小限の伸び率にすることで、ロープが伸びたことにより地面に激突するのを防いでいます。また繰り返し何度も墜落することも想定されているので、とても丈夫に作られています。
ハーフロープは2本のロープを使用し、ロープが屈折するのを防ぐ目的で使われます。アルパインクライミングで使用されるケースが多いので、伸び率が高く、衝撃吸収性が高い設計になっています。これにより中間支点破断による大墜落を防ぎます。
ツインロープは2本のロープを1つのカラビナに通すことで、シングルロープと同じ様な使い方ができるロープです。その多くがハーフロープの規格も有しており、シチュエーションに合わせてハーフロープシステムにしたり、ツインロープシステムにしたりと現場選択できるメリットがあります。2本同時に使うので、最も高い衝撃吸収能力が求められます。
シンプルツインランヤードに使用しているロープは、この3つの規格全てをクリアしています。つまり、シングルロープの強度基準を満たしながら、ツインロープの衝撃吸収基準を満たしているということ。
強くて衝撃を吸収するロープは、まさにランヤードの素材にうってつけです!
使用しているカラビナもまた特殊で、片手で簡単に開け閉めできるタイプのロッキングゲートカラビナを選択しています。
架替登攀確保を行う場合、連続して開閉を行う必要があります。これが昔ながらのねじ式安全環では、一手登るごとにくるくると開け閉めが求められ、あまりに時間がかかってしまい、現実的ではありません。
スムーズな開閉ができる機構は、架替登攀確保システムにおいてはとても重要であると考えられます。
もう一点、このカラビナは市場で販売されている中でもトップクラスに細いロッキングゲートカラビナであることも大きな特徴。細い鎖に通せないカラビナも多く存在する中、このカラビナであれば問題無くクリップすることができます。
これも、架替登攀確保を行う上では欠かせないポイントです。
他にも、懸垂下降の際などではビレイデバイス接続のランヤードとセルフビレイのランヤードに分けることができるので作業の手間が減ります。また、バリエーションルートでピッチを切る作業などにおいても、ランヤードが2本あることで煩わしさが減ります。沢登りの後などで、極端に汚れた場合も洗濯が楽な点も良いですね!
もちろん、一般に市販されているものに比べれば、長さ調整の面で不便な点もあるかも知れませんが、軽量コンパクトである点は圧倒的な優位性であると考えています。そもそも長さ調整だけであれば、フリクションコードやアッセンダー、ビレイデバイスなどでも行えます。
シンプルツインランヤードは、とても良いシステムだと言えますが、それでも使い方を誤ると危険もあります。
例えば落下係数。高性能なロープなので、落下係数1.8 / 落下重量 80kg の時に、僅か8.7kN
の衝撃に留めるスペックを有しています。人間の体にはある程度大きな衝撃が走りますが、致命的な怪我には至らない可能性が高い衝撃です。
しかし、カラビナは別です。
正しい向き(レギュラーアクシス)であれば 22kN まで耐えられますが、横方向(マイナーアクシス)に向いてしまえば 8kN にまで強度は下がります。どの様なカラビナでも概ね同程度の比率で強度低下してしまいます。
では、もっと高強度なカラビナや反転防止のついたカラビナではどうかと言うと...、細い鎖に通らなくなってしまいます。
もし落下係数2に近い状態から墜落し、カラビナがマイナーアクシスになっていたら………。
大きな怪我には至らない衝撃なのに、カラビナが壊れて命を落とすことにもなりかねません。
こういった理由から、きちんと学習していない方にはお譲りできない商品となります。
お求めの方は、山岳ロープワーク講習 や 懸垂下降技術講習、バリエーションルート入門講習 と共にショッピングカートに入れてください。ただ単に道具を手に入れるだけで無く、必要な技術も同時に学ぶことで安全を得ることができます。
シンプルツインランヤードは、あなたの山での安全を確保すると共に、登山の世界観を大きく広げる鍵となるでしょう。
より奥深き山の世界に脚を踏み入れる、その一歩前に、安全を是非お求めください。
※ 商品の受け渡しは講習日当日となります。
※ ご注文の受付は、講習日1週間前までとします。
※ 商品のみの販売は行なっておりません。
カラビナ付き (税込価格 10,780円) / ロープのみ (税込価格 5,280円)
¥4,800
税抜価格
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