雪山の足冷えに、VBL(ベイパーバリアラップ)と言う考え方

 

 

寒冷地では、汗を衣服の外に全て出すことが困難です。内外温度差が大きい環境ではどうしても一番外側の生地のすぐ内側で結露が発生し、衣服の内側は徐々に湿気を帯びていきます。
水は空気より20倍以上も熱伝導率が高いので、衣服の保温層が濡れてしまうと外気により保温層内の空気は一気に冷やされ、保温力を急激に低下してしまいます。

そこで極地冒険などでは、VBL(ベイパーバリアラップ)と言う技法が使われます。

湿気を外部に漏らさないことで熱伝導率の低下を防ぎ、衣服の性能を最大限に活かす技術を登山にも取り入れています。


ページヘの "いいね!"、記事のシェアも是非お願いします!

登山情報の共有は、安全登山にきっと繋がります。


.

.

VBL(ベイパーバリアラップ)ってなんだ?

 

 

雪山登山やアイスクライミングなど、寒冷地における活動ではどうしても衣服の内外温度差が大きくなってしまいます。

内外温度差が大きければ必ず衣服の一番外側の生地の内側に結露が発生し、そこより外には湿気が出て行きにくくなります。こうなると衣服の内側の保温層は徐々に湿気を帯び、デッドエアスペースの水分量が増えていきます。
水は空気の20倍以上もの熱伝導率となるので、保温層が湿気を帯びると保温層内の空気は外気の冷たい温度が伝わり、一気に保温力を失うこととなります。

そこで極地冒険などでは、保温層の内側に湿気を通さない膜を設けることで水分を膜の内側に留め、膜の外側から保温層、一番外部の生地までの間を乾いた状態に保つ技術が使われます。これをVBL(ベイパーバリアラップ)と言います。

BVLは湿気を通さない膜でなければならず、つまりは空気も滞留しにくい膜であると言うことにもなります。

熱伝導には伝達熱以外にも、気化熱、放射熱、対流があります。水を通さない膜を設ける事で外気との伝達熱による急速的な温度低下や気化熱による熱消失は防げますが、その一方で体温からの熱の対流は膜で防がれ、膜より外に熱が伝わりにくくなってしまう欠点もあります。また皮膚から放たれる放射熱の一部も膜で跳ね返されるので、膜より外の保温層は膜がない状態より暖まりにくい状態になってしまいます。
また当然ですが膜より内側はとても蒸れます。膜があまりに皮膚から近いと、かなりの不快感を感じるでしょう。
これらの問題を解決するためには、皮膚 → 第一保温層 → VBL → 第二保温層 → 外被 の順で構成される必要があり、このバランスがとれるとこれまでと同等の保温力を保ちつつ、保温力の低下を起こさずに長時間活動ができる様になります。

 

では登山においてはどの様にVBLを活用することができるでしょうか?
例えば手袋に使おうとすると、薄手のインナー → 薄手のゴム手袋 → 保温層 → オーバーグローブ と言う組み合わせになります。これってあまりに操作性が下がってしまうので全然現実的ではありません。
体全体で見ると、アンダーウェア → ビニールカッパ → 化繊中綿ジャケット → ハードシェル みたいな構成となります。いやこれ、暑いだろ…。
しかし足だけは有効に使えるのではないかと考えていたりします。

 

 

積雪期登山を考えると、足だけはどうにも冷えやすいと感じます。もちろん保温力を狙ってダブルブーツにすれば(ダブルブーツの場合、そもそもVBLの技術が活用されていますが…。)圧倒的に暖かくなりますが、足首が固くなって歩きにくくなったりします。
長時間のラッセル、爆風の稜線、高所登山、厳寒地など、足の冷たさが極端な状況では仕方ありませんが、決して歩きやすい靴ではありません。
特に日本の山は急峻で、太平洋側に至っては降雪そのものが少なく、夏道と変わらない大きな段差も多くあります。この様な状況ではやはり足首の柔らかいシングルブーツが適しているように感じます。
一方でシングルブーツではどうしても結露の影響を避けられず、冬靴の中綿は徐々に湿気を帯びてしまいます。これにより停滞して体からの発熱量が低下すると、すぐに外気が足に伝わり足が冷えてしまう現象がおきます。
シングルタイプの冬靴でこそ、このVBLと言う技術が大きく活かされるのではないかと考えています。

足で使う場合、ネオプレーンの薄手のソックスを使うとやりやすいです。モンベルから沢登り用の薄手のものが発売されていたり、探せば Amazon でもけっこういろいろあったりします。だいたい 0,5mm 厚くらいが使いやすいかな?

これを直接足に履いてしまうと絶対的な保温力が低下する様な印象なので、僕の場合は中厚手程度のウールの靴下の上にネオプレーンソックスを履いてVBLとしています。

足からの熱と湿気をウールソックス層で留め、靴の中綿と外被で外気を遮断する。薄手のネオプレーンソックスは縫い目があるのでそこからの湿気の漏れは防げませんが、僅かな湿気であれば靴のゴアテックスが抜いてくれるかなと期待しています。外被の内外温度差もVBLにより小さくなるので、結露による濡れ戻りは最小限に防げます。
これによりテント泊の際にも靴が凍ってしまうトラブルが起きにくくなりますし、夜寝る時にネオプレーンソックスを脱いで裏返し、懐に入れて寝ればウールソックス、ネオプレーンソックス共に朝までに乾かせます。
この方法であればシングルブーツでも足の冷えはだいぶ起きにくくなり、連日の山行でも靴が湿っぽくなりません!

 

ただ、世の中に完璧なんてものは存在する訳もなく…。
この技法、足が臭くなるのですよ…。
正直気化熱が起こらないのだから化繊のソックスでもそう変わらないと思うのですが、化繊だと臭くなるのですよ…。
うーん。やはりグローブにしろ、ソックスにしろ、肌に触れる部分はウールが正義ですな(^_^;)

そんな感じでこの駄文を締めたいと思います。
ご参考にして頂ければ幸いです♪

 Facebookをされている方は、是非下のバナーの"いいね!"ボタンを押してください

登山に役立つブログの更新情報が、タイムライン上に表示されるようになります。
良質な情報発信を心がけますので、是非 "いいね!" して下さい。宜しくお願い致します!!

 

 

良質な登山情報をより多くの方にお伝えすることは、山の安全に繋がると信じています。

記事のシェアは下のボタンよりお願いします♪

ご協力、お願い致します!!

 


コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    ほげ (日曜日, 24 3月 2019 15:25)

    ラップ(wrap)じゃなくてライナー(liner)ですな。