セルフビレイはダイナミックロープで!

 

 

セルフビレイを行った状態で墜落すると、とても大きな落下係数が発生してしまう場合があります。例え墜落距離が短かったとしても、落下係数が大きいと墜落衝撃も大きなものとなります。もしセルフビレイをとっているランヤードが伸びない素材だった場合、腰に重篤なダメージを及ぼす危険性があります。
そこでダイナミックロープを採用したランヤードシステムを使うことで、ロープが墜落衝撃を大きく吸収してくれます。安全度はかなり高くなります。
ロープを切って自作しても構いませんが、専用の道具を使うことで利便性も高まります。ペツルのデュアルコネクトアジャスター、とても便利です!!


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セルフビレイはダイナミックロープで!

 

 

セルフビレイをとるランヤードシステムに何を使っていますか?
登山の世界では、スリングやPASなど、伸びないウェビングテープを使用したランヤードシステムを使用している場合がほとんどだと思います。僕自信も最近までそうでした。
しかし高所作業の世界ではアブソーバー付きのランヤードシステムの採用が法律で義務付けられたりなど、安全に関する基準が厳しくなっています。この様な規制の裏には、必ず誰かの屍が転がっているものです。重篤な怪我や死亡を伴う事故がいくつも発生したからルールが変わったと考えるのが自然でしょう。

 

 

特殊高所技術協会さんのカラビナ破断実験動画では、スリングをランヤードにした状態で落下係数2 の墜落を発生させた時のカラビナ破断強度を紹介しています。この動画ではマイナーアクシスでの墜落を起こした際に7.7kNの衝撃荷重で破断したことが示されていますが、実際にカラビナが破断しなかった場合にはもっと遥かに大きな衝撃が発生していたものとも考えられます。
そもそもセルフビレイをとったまま登ってはいけませんが、その際に伸びないランヤードを使用しているととても危険であることが分かります。

伸びないロープやスリングでの墜落の場合、衝撃吸収を考える必要がないので計算式はシンプルになります。

 体重 × 落下距離(m) × 9.8 ÷ 100 = 衝撃荷重

 

例えば 120cm のスリングで、上記実験と同じく80kg/落下係数2 だった場合 80kg × 2.4m × 9.8 ÷ 100 = 18.816kN となります。
お、恐ろしい…。確実に死ねます…。 ( ※ 凡そ6kNで腰に深刻な怪我を負い、凡そ12kNで人は即死するとされています。)
仮に落下係数1 でも9.4kN、落下係数0.8 でも7.5kN。骨盤骨折や内臓破裂などの怪我を負う可能性も高いでしょう。

 

ではこれをダイナミックロープで行っていた場合はどうでしょう?
ペツルのコネクトアジャストと言うダイナミックロープを使用した状態での、墜落実験データをペツルが公開しています。これによると、調整式アームを採用している側での落下係数2 の墜落で6.2kN、調整アームが無い側で8.9kNとされています。これは大きな怪我をする可能性があるが、即死するエネルギーでは無いことが示されています。
実際には落下係数1 程度までの墜落がほとんどでしょうから、4.5kN程度(アームは4kN以上滑らないことが規格で定められている)の衝撃荷重程度に留まります。決して小さな数字ではありませんが、怪我をする可能性は低いでしょう。

 

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究極を言えば高所作業と同じ用にアブソーバーシステムを組み入れたランヤードにすべきでしょうが、クライミングではそこまで大きな落下係数が発生する状況は考えにくいものです。重量などを考慮すると、ダイナミックロープを使用したシステムが現実的でしょう。

 

個人的にはペツルのデュアルコネクトアジャストと言うランヤードシステムを採用しています。
セルフビレイの長さを自由に変えられたり、フィックスロープの架替え、バックアップを設けた懸垂下降のシステム構築などにも便利です。

 


クライミングや登山の世界では、伸びないランヤードシステムによるセルフビレイを行うことがまだまだ一般的です。
それで致命的な怪我を負った事例はあまり報告されていない事からも、実際にはそこまで大きな問題では無いのかも知れません。常識的に考えれば、セルフビレイをとっているその場所から自由落下が起こることが殆どないのでしょう。
しかし想像できる事故はいつか必ず起こるものです。特にクライミングで壁のど真ん中にいる状況で何かしらの作業を行うような場合や、足元が切り立った岩壁の鎖などに対しては自由落下も充分に考えられます。


必ずしも既製品である必要はないと思います。
例えばロープの両末端を2.5m程度切って、末端にダブルフィッシャーマンズノットで安全環付きカラビナを固定し、反対末端をエイトノットでハーネスに繋ぐ。これを2本用意すれば、鎖場での架替えなどでも役立つでしょう。

ロープを切って作った場合も、落下係数1 での衝撃荷重で4.5kN程度までに収まると考えられます。

 

安全を重視したい方は、是非ダイナミックロープによるランヤードシステムをご用意頂くことを推奨します。
ご参考にして頂ければ幸いです♪

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