ハンモック最強説!

僕の登山は主に森林限界以下の森で行う登攀的山行となります。春から夏にかけては沢登り、秋の時期であれば藪岩登攀、冬に入るとアイスクライミングと、概ね森林限界以下の、それも極めて急峻な地形の中で活動しています。
国土の周りを全て海で覆われた我が国では、世界でも有数の降雨量を誇ります。雨により山の風化が進み、森林限界以下の山域から極めて急峻な地形が生み出されています。これは世界的にも稀な地形で、日本ならではの登山が楽しめます。
もちろん北アルプスなどの森林限界を超えた山域の展望の素晴らしさも認めますが、どこかヨーロッパに憧れを懐き、その背を追っている感を感じてしまうのは僕だけでしょうか?
日本の土地において、日本にしかないフィールドで、日本ならではの登山を楽しむ。そんなスタイルが僕は好きです。

山岳登攀を求めた山行を行うので、基本的には登山道から外れた急峻で不安定な地形の中で活動します。この様な山域において、平らな地面などほとんど存在しません。地面に眠ろうとすると、石でデコボコしていたり、斜めの地面しか無く快適に眠ることなど到底できません。
山の中で如何に幕営適地を見つけるかも登山の楽しみのひとつであり、僅かに見つけたその場所に、如何に眠るか。そこに登山者としての実力が試されると、本気でその様に考えていました。

ばーか言ってんじゃねぇw

もうね、過去の自分にそう言ってやりたいww

今年の春にハンモックに出会って以降、もう他の幕営具には戻りたくないくらい、僕はこれを気に入ってしまった。

いやさ、もう地面なんて関係ないのよ!
森林限界以下で活動している以上そこら中に木は生えているわけで、木さえあればどこでも幕営適地になるわけ。

そこがどんなにデコボコしてようと、どんなに急峻な斜面だろうと、どんな激ヤセ尾根だろうと、木さえあればいつでも超快適に眠れるのがハンモックの魅力なのです。

みんなさ、胸に手を当てて正直に話してみよ?
テント泊登山は確かに楽しいし、それこそ登山の在るべき姿だと思う。うん。それは僕もそう思う。
でもさ、実は眠りが浅くなったり、何度も夜中に目が覚めてしまったり、本当の意味で快適では無いよね?
てか、自宅のベットで眠るか、テントで眠るかって言われりゃ、そりゃ自宅のベットの方が快適なわけで、本音で言えばできればテントなんかで寝たくなんか無いわけ。
でもテント泊登山はとても楽しいから、だから仕方なく外で泊まるんだよね?
みんながそうかは分からないけど、正直なとこ僕はそう思ってきた。
それを根本から覆す良さが、ハンモックにはあったのだよ!

家で寝ててさ、ふと 「そろそろハンモックで眠りたいなー」 なんて思っちゃうわけですよ。
これって多分、自宅で眠るよりも快適だって感じてるんじゃないかな?
実際、ハンモックに切り替えてから夜中に目が覚めることは無くなったし、翌日の体力の回復度が明らかに変わった!
これは結果として登山の安全性にも繋がるんじゃないかと思うのです。
そして何より、眠ることそのものが楽しいって感じる。これこそハンモックの最大の魅力なんじゃないかな♪

もちろんただ快適だとか、楽しいだとかだけではない、登山で選択すべき合理性もある。
例えば山岳テントと比較した場合、圧倒的に軽くなる事。山岳テントで夏に泊まろうとした場合、だいたい1.5kg程度となると思うんだけど、これがハンモックと軽いタープなら、400g以下となる。これはだいたいツェルトと同じ重量だよね。軽い!
ツェルトで泊まっても重量的には変わらないわけだけど、ツェルトの場合には虫の侵入とか、大雨時の床下浸水の心配とかあるでしょ?  でもハンモックなら常に宙に浮いてるし、蚊帳付きのものもあるし、そうでなくとも、マダニやムカデ、ヤマビルなど、地を這う虫は少なくともやってこない。当然雨の心配もない。
ハンモックは基本的にタープと組み合わせて使うので、まわりは常に開放されている。だから結露が発生せず、常に幕営具を乾いた状態に保てる。結果、連泊のリスクが下がるし、湿気で重量が増すこともない。これも大きな利点!

そして何より、どんな地形でも、木さえあれば安定して眠れるのは、他のシェルターじゃありえない。ハンモック最強!!

もちろん欠点もあって、森林限界を超える山域では基本的に使えないとか、風が特に強い場所だと寒いとか、破れてしまったら寝床を失うとか、厳冬期の保温、下からの水ハネ対策、荷物の置き場など、考えなきゃならないことがたくさんある。
でもそれって工夫次第でどうにかなることも多いし、与えられたパッケージをただ黙って使うんじゃなく、自分なりに考えて創意工夫してみる事ができるのもまた、遊びとして楽しめる要素だと僕は思う。

人によって登山のスタイルと合わない方もいるかも知れないけど、少なくとも僕の山行スタイルではベストマッチな幕営具だと思ってる。この素晴らしさを、是非より多くの方に知ってもらいたい。


いやさ、なにもこれに泊まらなくたって良いのよ。

ハンモックって握りこぶしくらい小さくなるし、軽いものだと150gちょっとのものもたくさんある。

これをバックパックの片隅に入れといて、小さな沢の脇にハンモックを張ってみて、そこでランチしてみてさ。いつもの登山にちょっとリラックスする時間を取り入れてみるとか。それだけでも楽しいじゃん?
で、興味が出たらキャンプ場とかでまずは試してみてもらいたい。そしたらきっと、ハンモックで泊まることが好きになると思うから(*´ω`*)


ね?興味出てきたでしょ♪
マジで良いからさ、一緒にユラユラしよーぜっ!

 




Kuri Adventures では登山教室を通じて様々な登山技術を指導しています。ロープを使った確保技術などを中心に、主に安全登山に関わる技術をお伝えしています。もっと安全に登山を楽しみたい方、より幅広い登山を楽しみたい方にこそ、是非学習機会を設けて頂ければと考えております。皆様のご参加も心よりお待ちしております!


栗山 祐哉

Kuri Adventures 登山教室の企画全体を受け持つ代表主任講師。

登山歴25年。誰も通らないようなルートを地形図から探し出し、泥と苔の藪岩登攀を好む土臭いアルパインクライマー。

生粋の山道具オタクで、より快適で合理的な登山装備の在り方を日々探求し続けている。そう、インストラクターとしての業務の一環であり、これは断じて無駄遣いではない!!

ロープによる安全確保技術を専門とし、確保技術を多くの登山者に伝えていくことで、遭難死因第一位である転滑落を限りなく " 0 " に近づけることができると信じ、日々活動中。