積雪期の山では、どこで雪崩に遭っても全く不思議ではありません。もちろん地形や気象条件、積雪量などによって雪崩の発生しやすさなどは異なりますが、一定以上の積雪があればどこでも雪崩の可能性はあります。一方で、明らかに " 雪崩が起きにくい条件 " があるのも事実で、リスクを避けて行う雪山登山であれば雪崩に遭遇する確率は極めて小さいとも言えます。
実際に令和元年の山岳遭難事故の統計を見ても、道迷い、滑落、転倒、病気、疲労の5項目で全体の86.7%を占めており、雪崩による遭難事故は0.3%に留まります。その半数はバックカントリースキーヤー・スノーボーダーに発生しており、登山者が雪崩に巻き込まれる可能性は遭難事故全体の0.15%と僅かなものでしょう。
しかしもし万が一雪崩に巻き込まれてしまえば、ビーコン、プローブ、ショベルが無ければ助けることはできません。雪崩の即死率は10%とされており、9割はまだ生きてるんです。装備と技術があれば高確率で助かる命を、それが無い為に失われる事があってはならないと思います。
そうは言っても、まず使う機会が無いであろう道具は可能な限り軽い方が良いと思います。そこで僕が個人的に愛用しているのが " ARVA RACE240 " と言うカーボン製のプローブ(ゾンデ棒)です。
プローブには大きく分けて2種類の長さがあり、凡そ360cmの長いタイプのもの、240cmの短いタイプのものがあります。また素材も丈夫なアルミのタイプと、軽量なカーボン製のものがあります。バックカントリーなど雪崩リスクの高いアクティビティを行う方であればアルミ製の長いプローブを用意すべきでしょう。しかし雪崩リスクはさほど高くない環境で行動するなら、カーボン製の短いプローブでも構わないのではないかと思います。
そんな240cmのカーボンプローブの平均的重量は200g程度となりますが、なんとこのプローブは120gと驚異的な軽さです!!
バンジーコードとトグルを追加してるので、実際には120gちょうどってところです。
サイズもコンパクトな製品で、バックパックに横向きに入れることもできます。
プローブは雪崩事故が発生しない限り、雪洞を作る際の積雪深を調べるのに使用したり、せいぜい幕営時のペグの一本として使う程度であり、登山中に使用することはほとんどありません。だからこそ欠かさず持ち歩くためにも、軽い道具である必要があると考えています。
ARVA RACE240 は、1gでも軽量化したいクライマーにとっては特に大きなメリットを生み出す道具であると感じます。
尚、当然の事ながら、道具だけ持っていれば良いってもんじゃありません。雪崩埋没した人を救助する技術も含め、安全に雪山登山を行う為には様々な技術を習得する必要があります。
それに関しては、是非 Kuri Adventures の雪山登山講習にご参加頂ければ幸いですw
皆様のご参加をお待ちしております♪
雪山登山講習
雪山登山に必要な歩行技術、初動停止技術、滑落停止技術、雪洞ビバーク体験、などの技術講習に、実際に谷川岳までの実践山行を組み込んだ一泊二日の雪山登山技術の講習です。
雪山登山をこれから始める方、我流で続けてきた方におすすめです。
しっかりと身に着け、安全に雪山登山を楽しみましょう!
Kuri Adventures では登山教室を通じて様々な登山技術を指導しています。ロープを使った確保技術などを中心に、主に安全登山に関わる技術をお伝えしています。もっと安全に登山を楽しみたい方、より幅広い登山を楽しみたい方にこそ、是非学習機会を設けて頂ければと考えております。皆様のご参加も心よりお待ちしております!
栗山 祐哉
Kuri Adventures 登山教室の企画全体を受け持つ代表主任講師。
登山歴25年。誰も通らないようなルートを地形図から探し出し、泥と苔の藪岩登攀を好む土臭いアルパインクライマー。
生粋の山道具オタクで、より快適で合理的な登山装備の在り方を日々探求し続けている。そう、インストラクターとしての業務の一環であり、これは断じて無駄遣いではない!!
ロープによる安全確保技術を専門とし、確保技術を多くの登山者に伝えていくことで、遭難死因第一位である転滑落を限りなく " 0 " に近づけることができると信じ、日々活動中。