登山のロープの選び方|どのロープを何mもてば良いのだろう?

 

 

初めてロープを買う時って、どんなロープを買ったら良いか悩みますよね。

答えから言っちゃうと、結局は用途に合わせて何本かのロープが必要になるのですが、そうは言われても何をどう最初の一本として買えば良いか、なかなかその指標が掴めないのでないかなって思うんです。

 

まずそもそも、登山に使用するロープとして最低限どんな性能が求められるのか?
これまた使用用途にもよるのですが、原則として " ダイナミックロープ " である必要があります。

 

ダイナミックロープとは " 伸びることで衝撃を吸収するロープ " を言います。

細かいこと言うと、墜落に伴う落下エネルギーを、ロープの伸びにより時間軸に分散することによって最大墜落衝撃を緩和しているのですが。まぁ小難しい話はおいといて、要はバンジージャンプと同じで、びよーっっんって伸びるから衝撃吸収するのですよ。

これが伸びないロープだとマズくて、墜落衝撃がそのまま体に伝わっちゃいます。10m落ちたら10m分の衝撃がそのままダイレクトに体に伝わっちゃうんで、場合によってはロープが原因で死に至ります。

ロープは伸びなきゃダメなのです。

 

でもさ、あんまり伸びすぎると地面まで落ちちゃう可能性が高くなるし、良く伸びるロープほど細くなっていくから岩角で切れるリスクは高くなる。使用目的に合わせて、どのくらい伸びるロープを選ぶかが重要になるのです。

 

 

ダイナミックロープには3つの規格があります。左から、シングルロープ、ハーフロープ、ツインロープ。
シングルロープは1本で使うロープで、主にスポーツクライミングで使用します。
ロープ単体重量は他の規格より重くなるけど、ロープ1本だけで登るので総重量としては軽くなります。
スポーツクライミングは墜落することが前提の遊びなので、支点はとても丈夫でまず壊れることはありません。その代わり、とても難しいルートに挑戦するので、登り始めの低いところで落ちる可能性も十分あります。この時、ロープの伸びが大きいと地面に激突しちゃう可能性があるわけです。
なので人間が怪我しない範囲のロープの伸び率に留めて作る必要があります。
じゃあそれで良いじゃんて思うかも知れませんが、スポーツクライミングで使うにはリスクなくらい伸び率が高いロープが必要なケースもあるんです。

 

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クライマーに発生する墜落衝撃は折り返されたカラビナの摩擦抵抗により、0.7倍 の墜落衝撃がビレイヤーに伝わります。この時、折り返されているカラビナには、クライマーとビレイヤーのそれぞれに発生する墜落衝撃を合算した、クライマーに発生した墜落衝撃の 1.7倍 もの墜落衝撃が発生します。

人工的に整備されたクライミングジムやスポーツクライミングのゲレンデでは極めて丈夫に支点が作られていますが、アルパインクライミングではそうはいきません。

 

錆びたハーケン、細い灌木にスリングを巻いたもの、水っぽい溶けた氷に打ったアイススクリューなど、明らかにプアな支点にロープをセットしなければならない場合もあります。
このこともあり、アルパインクライミングで原則として " 落ちちゃダメ ” なのです。


" 万が一落ちた時に止まったら良いね " と言う感じでロープによる確保を行うので、低いところでロープが伸びて地面に激突しちゃうより、40m とか登ったところで落ちて、中間支点が破断して地面まで落ちちゃう方が遥かにヤバい!
中間支点保護の為には、しっかり伸びて衝撃吸収するロープが必要になるわけです。

 


この様に、使用目的によってロープの規格を分け、シチュエーションに合わせてより安全な選択ができる様になってます。

スポーツクライミングで使用するシングルロープに対し、アルパインクライミングではハーフロープ規格のロープを使用します。

 

 

人工的に中間支点設置の為のアンカーを設置するスポーツクライミングでは、そもそも最初から直線的にロープが流れる様に意識してルートセットを行います。しかし自然地形の中で中間支点をセットできる場所を探しながら登るアルパインクライミングでは、どうしてもロープが屈折します。
ロープが屈折することで摩擦が発生し、ビレイヤーに伝わる衝撃が小さくなる訳ですが、それってつまり屈折が増える毎にロープの伸びが有効に使えなくなるってことでもあるわけです。

なのでロープを2本使ってロープの屈折を減らし、本来あるべきロープの衝撃吸収を最大化するわけです。
ロープの伸び率が高いハーフロープは当然シングルロープに比べて細くなるわけで、岩角などで切断するリスクが高くなります。
ロープを2本使うことでそのリスクも分散できる、実に合理的なシステムなわけです。
じゃあ登山で使うならハーフロープが良いのかと言うと、それもまた問題があって、ロープ2本持てば重いわけですよ。
ハーフロープ1本だけもてば軽く済むかもだけど、そうなると今度は岩角で切れるリスクも高くなるわけです。

 

 

そこでオススメなのが、シングル、ハーフ、ツイン、3つの規格全てが通ったロープを選択すること。

シングルロープの規格基準に収まる範囲のロープの伸び率や破断強度を有しながら、ツインロープの規格基準を満たす衝撃吸収性を持つロープを言います。(ツインロープとは、2本のロープを1つのカラビナに通すことでシングルロープと同じ役割を持つロープを指します。)


つまりあまり伸びず、丈夫なのに、衝撃だけはしっかり吸収してくれる良いとこ取りのロープってことです!

しかもシングルロープとしては最も細い部類のロープになります。なので当然軽い!!
 

この3規格のロープを30m用意するのが、最初の1本としてオススメです。

 

まぁ軽いとは言えシングルロープなので、例えばハーフとツインの2規格のロープに比べれば重くなるわけですが、最初の一本としてはオススメです。

と言うのも、たぶんこのブログをここまで読み進めている人の目的って、登山での使用が目的だと思うのですよ。例えばバリエーションルートで懸垂下降したいとか、沢登りやってみたいとか、岩稜登山で安全確保したいとか、主にはそう言った目的だと思います。

岩角や落石などでの破断リスクが比較的小さいシングルロープで、且つ衝撃吸収性も高いロープが理想的。長さとしてもこれらの使用目的であれば多くの場合30mあれば足りるケースが多いと思います。

最終的に本格的なアルパインクライミングを目標にする場合などにはクライミングジムでのトレーニングも欠かせませんが、これも多くの場合、30mあれば足りるケースがほとんどです。あまり長くないロープを使えば手返しが良くなり、練習回数ももっと増えるでしょう。

 

でも30mの3規格ロープって、実はあまり売ってないのですよ。
そこで Kuri Adventures では、60mのロープを仕入れて、半分に切って販売します!(現在準備中)
しかも外被にケブラー繊維を織り交ぜることで、岩角破断耐性まで高くなっているスペシャルなロープ。
個人的にも愛用していますが、とても安心感があって良いです♪

 

 

でもね、Kuri Adventures ではクライミング用品は講習参加者にしか販売しない事にしています。
と言うのも、知識なくして使用すると、むしろそれが原因で命に関わる事故に至る可能性があるわけですよ。

うちは商品販売で利益を上げて食ってるわけではなく、お教室を営んでいる訳です。なのでたくさんの人に商品を買ってもらいたい訳ではなく、ちゃんと学習してもらって、安全に登山を楽しんでもらいたいと考えています。
なので講習参加時に現場で商品をお渡しする形をとっており、店舗販売や通信販売は行っていません。

もちろん登山用品店で買ってもらっても良いと思うけど、いずれにせよちゃんと学習する機会は設けて欲しいなって思います。
ちゃんと学習して運用すれば、ロープってほんとすごく登山の幅を広げてくれるんですよ。
それも例えば山岳会の先輩に習うとか、大手ショップの講習会に参加するんでも良いんです。是非、学習機会を設けましょう!
(と言いつつ、そこは Kuri Adventures の講習をご利用頂ければ嬉しい限りではありますが ^^; )