懸垂下降実践山行

バリエーションルートに行く時の必須条件、一番は「懸垂下降ができる」ことです。

想像してみてください。あなたは目の前のルートを見上げ、「登れるかな?」と考えます。ホールドやスタンスはどこにあるかを確認して「行けそうだ」となり、気合を入れて登り始めます。しかし、15mほど登ったところで、行き詰まりました。降りられるか、と下を見てもクライムダウンなんてとてもできない。降りる方が難しいというのが山の定石。ここで、あなたがもし降りる手段がなかったとしたら?「詰んだ!」という状態です。

「登る」という判断は「懸垂下降ができる」というスキルを持った上で決断すべきものなのです。

逆に考えれば、懸垂下降ができればどこでも降りられます。ルートにもなっていない急峻な地形、岩壁、沢でも。

 

講習で行ったような、下降支点が整備されたところでは、基本通りにシステムを組めれば問題はありませんでした。でも実際には下降ポイントに安全性の高い残置物があるとは限りません。しかも地形は複雑、着地点までの距離感すら掴めない場合がほとんど。そういった状況であなたは自信を持って懸垂下降ができますか?

 

「懸垂下降実践山行」では、マルチピッチで登る100m以上にもなる岩壁、沢、バリエーションルートなど、様々な地形の中で懸垂下降を実践します。お膳立てされた体験ツアーなどではなく、独力で下降できるようになることを目標に、自分で安全性の高い下降ポイントを見つけ、ロープをセットし、下降して回収まで行います。これを繰り返すことでスムーズな下降ができるようになり、案外シンプルなシステムであることが分かったりします。回数を重ねるほどにロープやギア、そして自分のスキルへの信頼度が高まり、最初にあった恐怖感もなくなってくることでしょう。

 

講習を受けただけでは、自信を持って「懸垂下降ができる」という状態にはなっていないでしょう。ブランクが空くとやり方を忘れてしまいます。なので2日間の技術講習後、すぐに懸垂下降実践山行に参加してください。自信を持って「懸垂下降ができる」と言える状態になったら、そこでバリエーションルートに行くための一番の必須条件がクリアとなります。なにより、「懸垂下降ができる」という自信は、登山での行き詰まり感から解放され、どれほど自由なことか!その自由感をぜひ感じてみてください。

 

  ※ 実践山行へのご参加は、懸垂下降技術講習へのご参加が必ず必要です。ご注意ください。


三つ峠 屏風岩 120mの大岩壁の下降

 

三つ峠山の山頂直下にある120mもの大岩壁をご存知だろうか?
本格的なアルパインクライミングに挑戦する前に、その練習の場として古くから関東圏のクライマーたちに利用されてきた4ピッチのマルチピッチクライミングを行えるゲレンデがあります。この大岩壁を、この企画では懸垂下降で降りて行きます。

超高度からの懸垂下降、狭いテラスでピッチを切る不安感、複雑な形の岩での懸垂加下降の難しさ。その一つ一つもまた大きな学びとなるでしょう。

 



シンナソー 入門的な沢の下降

 

 

" 道に迷ったら上に登れ、沢を下るな “ と言われるように、 沢の下降はタブー視されています。しかし懸垂下降技術を身につければ、沢の下降だって問題無く行えるようになります。
沢の下降の難しさは、懸垂支点を見出すことにあります。どの木なら、どの岩なら視点として耐えうるのか。その一つ一つは、現場経験の積み重ねでしか得る事はできません。この山行で、その経験を得ましょう!

 



妙義山 星穴岳  本格的な登山の中での空中懸垂

 

妙義山のバリエーションルートの一つ、星穴岳。このルートには3回の懸垂下降箇所があり、40mが1回、50mが2回とかなり本格的な懸垂下降が要求されます。しかもそのうち一回は空中懸垂となる本気のルート!
また懸垂下降以外の道中も決して易しく無く、岩壁を攀じ登ったり、かなり痩せ細ったナイフリッジを渡ったりなど、一般登山道とは全く異なります。本格的な登山の中での実践は、飛躍的に経験値を高めてくれるでしょう。

 



  ※ 実践山行へのご参加は、懸垂下降技術講習へのご参加が必ず必要です。ご注意ください。